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よくわかる相続・税金のしくみ

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相続法改正・特別寄与料支払請求権の創設

更新日:2018年12月10日

特別寄与料支払請求権の創設

(1)改正理由

 現在も、寄与分という制度があります。これは、無償で、療養看護したとか、労務の提供をしたとかで、亡くなった人の財産の維持・増加について特別の寄与をした相続人の具体的相続分を増やす仕組みです。

 しかし、これは、相続人の貢献に限られています。たとえば、長男の嫁や親せきが世話した場合などは遺産を分け与えることが難しいものでした。

 そこで、相続人ではない者の特別の貢献に報いるため、特別寄与料支払請求権という金銭債権をつくりました。

 これで長男の嫁が報われるというふれこみです。

(2)内容

 特別寄与料の支払いを主張できるものは、亡くなった人の親族です。6親等内の血族と3親等内の姻族です。かなり広いです。ほぼ生存している親戚はこれに入ります。

 特別寄与料の金額は相続人との協議で決めます。協議で決まらなければ、最後は、家庭裁判所が決めます。

 権利行使期間は短いです。権利が判明したときから6か月以内、知らないまま死亡の時から1年経過すれば消滅です。

(3)注意点

過剰な期待はしないこと 

 ただ、そもそも、これまでの寄与分自体がたいした評価を与えてもらえないものです。どんなに殊勝な貢献をしても相続財産のせいぜい15%でした。

 ですから、単に、2年程度、介護のために施設の送り迎え・食事の介助を頻繁にしたとか程度なら、個人的な感覚ですが、3%くらいかなというような気がします。3000万円の相続財産ならせいぜい90万円程度でしょう。

 ひょっとしたら、それは特別の寄与ではなく、家族道徳に基づく通常の寄与に過ぎないといわれる可能性も十分にあります。

 なんにせよ、大きな期待はしないことです。

遺産分けがまとまりにくくなる

 個人的に気になるのは、これで長男の嫁が報われると手放しで喜べる制度なのかということ。

 というのも、これまで、遺産分けでもめるひとつの原因は、相続人のつれあいだったじゃないですか。相続人を陰で操ってたじゃないですか(笑)。それが遺産分けがすんなり決まらない原因のひとつだった。

 それでも、これまでは、最後は、「あなたは関係ない」と言えた。それが、こういう請求権が表立って認められると、今度は堂々と嘴をさしはさんでくるようになる。たいした貢献・金額でもないのに、相続人面ができる(笑)。お茶を出してさがるのではなく、こたつに入り込んできますよ(笑)。遺産分けがますますまとまりにくくなるような気がします。

 一般の国民は、特別寄与料の相場なんて知りません。長男の嫁と相続人の間で評価が食い違うにきまってる。だから、家庭裁判所も、どういう貢献をしたらどのくらいの割合の請求権が認められるのか、調停の事例を公表するなどして、協議がまとまりやすくなるよう努めるべきでしょうね。

税法上の問題

 さて、この特別寄与料支払請求権、税法上はどのように取り扱われるのでしょうか。

 「相続・・・により、財産を取得した者」(相続税法11条)に該当するとして、相続税が課税されるのか。

 または、特別縁故者と同様に、遺贈により財産を取得したとみなされ(相続税法4条)、相続税が課税されるのか。

 あるいは、相続人でない以上、相続税ではなく、所得税が課税されるのか。その場合は、事業には至らない程度の業務ということで、雑所得になるのか。

 もしくは、金額も比較的少ない場合が多く、課税上の弊害も少ないので、いずれの税目でも課税を見逃すのか。

 このあたりははっきりしていません。

 わたしの見解は、相続人に寄与があった点で特別縁故者と同様の利益状況といえるので、新しく、特別寄与料支払請求権者は遺贈により財産を取得したものとみなす条文(相続税法4条の1か)が創設されると推測します。租税法規なので、特別縁故者の規定の類推適用は無理でしょう。

 そうして、支払いに応じた相続人は、債務控除の規定が適用されるべきと考えます。

 この点については、「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」(相続税法13条1項1号)にあたると解釈するか、被相続人の債務といいにくい以上、同項に新しい文言が付け加わるか、どちらかになると思います。

 いずれにせよ、国税庁の解釈を注視しましょう。

 

追記

平成31年4月3日

相続税が課税されることになります。2割加算です。法令が整備されます。

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