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民法改正と不動産経営・これからの不動産経営の争点(孤独死と相続放棄)

更新日:2018年12月17日

これからの不動産経営の争点(孤独死と相続放棄)

ア 孤独死すると部屋はどうなるか

 みなさんは、孤独死って聞いたことありますよね。報道で単語は知っているけど具体的には想像できないでしょ。「まあ、一人さみしく死んだんだね。」という程度ですよね。今は、年間3万人くらい孤独死しているようです。今後、一層増えていくことが予測されています。

 孤独死の問題は、早期発見がなされないことによる死臭の問題なんです。夏場であれば数日で体が腐ります。うじがわきます。蠅が大量に沸いて、アパートの隣接する部屋に蠅が移動します。においもうつります。

 大家が異状を把握するのはもっとあとです。で、警察に連絡しますね。警察が立ち入り、死体を搬送したあとには、布団、畳やフローリングに人の跡が残ります。そして、なんともいえない匂いが残存します。死臭ですね。

 これは本当に消えないんです。私も、部屋に立ち入って家財道具の処分を手伝ったことがありますが、びっくりしましたね。話には聞いていたけど、本当に消えないんです。同じ部屋にあっただけのビンにも匂いがついているんですよ。考えられますか。ビンの外側を指でなぞった後、洗剤で洗っても落ちないんです。1週間後くらいにようやく気にならなくなりました。

 死臭が染みついた部屋はどうなると思いますか。全面的に壊して改修するしかありません。これにかかる修繕費は、いくらだと思いますか。狭い部屋でも一部屋、300万円は軽く超えます。

イ 相続人は支払ってくれるのか

 孤独死する高齢者は、通常、身寄りがない人です。事情や本人の性格から親戚から縁を切られた人が多いです。生活も苦しくて生活保護を受けている人も多いです。だから、相続人が債務を支払ってくれるような関係には通常ないんですね。

 大家や管理会社は、相続人を調べて、300万円を超える修繕費の請求書を届けますよね。こざかしくも、3か月の相続放棄の熟慮期間を超えてから(笑)。

 でも、相続人も、最近はネットで調べられるので、こざかしく、そのときから3か月以内に相続放棄をしますよね。それで、結局は支払ってもらえないというわけです。

ウ 保証人が破産するとどうなるか

 当然のことですが、孤独死した入居者には連帯保証人がいますよね。

 でも、孤独死する身寄りのない人の連帯保証人って、生活が苦しい人が多い。300万円の修繕費用をぽんって出せる人はまずいません。で、責めたてれば破産申立てです。

 連帯保証人が破産をすると、まず、300万円もの修繕費は回収できません。破産財団からの配当金は、よくて、30万円ではないでしょうか。ひどいときは3000円です。

 結局、大家は、修繕費を自分で負担する羽目になります。なお、部屋を修繕した後、嫌悪物件として募集が難しくなりますよね。その逸失利益は100万円程度はいくんでしょうね。ご愁傷さまです。

 こんなふうに、保証人は、あてにならない場合があります。

エ 保証会社は保証するのか

 契約時に相続人や連帯保証人がいても、今回のようなケースでは回収ができません。

 では、保証会社に保証を頼んでいた場合、損害は保証はされるんでしょうか。私が、ある管理会社さんに聞いた話では、今現在、保証会社は、滞納家賃や原状回復にかかる修繕費しか保証しない契約になっているそうです。基本、孤独死による損害は保証しないんですね。

 現状では、こういうケースは大家が負担を背負うしかないです。

オ 対策

(ア)身寄りのない高齢者を入居させるかどうか

 人口は増えない時代です。むしろ、急速に減っていく時代です。アパートを借りたくて世間をさまよっているのは、身寄りのない高齢者だけです。

 これからの不動産経営は、ビジネスモデルとして、身寄りのない高齢者を入居させるかどうかの選択をすること、もし、空室対策で身寄りのない高齢者を受け入れるなら孤独死にどう対応していくかを考えないといけないでしょうね。

(イ)民法改正により保証会社を使うケースが多くなるが・・・。

 今回の民法改正で、連帯保証人に極度額を見せつけることになりますね。だから、身寄りのない高齢者の友達が連帯保証人になるなんて美談はもう期待できません。

 で、これからは、保証会社に保証料を払うように変わるでしょ。だけど、孤独死による損害は、原則、保証されません。孤独死による損害を自分が負担したくないなら、大家が、自分で孤独死による損害を保証する新しい保証契約や保険に入るしかないですね。

 そういう保証や保険がどれくらいあるのか私は存じません。たしか、●●●●●が孤独死向けの保険をオーナー向けに販売してましたが、●●●●●の管理物件に限るんでしょうね。

 皆さんも、一度、ご自身の依頼している管理会社に聞いてみたらいい。孤独死したときの保険ってあるのって。ないなら作れよと。ないならほかに管理移すぞと言って脅してやればやればいいんです。きっと急ぎで作りますよ。

(ウ)高齢者の孤独死をふせぐ対策

 さて、最後に雑談です。

 私が大家なら、古いアパートでまだ使えるものを買って、身寄りのない高齢者専門のアパートをむしろやります。

 入居者にゴミの指定日にゴミを各自の玄関先に出してもらうようにします。1週間に2日くらいでしょ。で、入居者達で当番決めるんです。すべての玄関先のごみを当番に収集場所に捨てさせるようにする。

 玄関先にゴミが出ていない人がいるなら当番から私に連絡させる。それで、私が、孤独死していないかどうか入居者に電話で確認するとかすれば、自分で動かなくても確認はできます。これくらいの義務で入居できるなら身寄りのない高齢者も喜んでやるでしょ。わたしは午前中寝てるし、高齢者は朝早いし、どちらにとっても都合がいいじゃないですか(笑)。

 ついでに、身寄りがないなら、好都合じゃないですか。

 (詳細は割愛します。セミナーでお話します。)

 孤独死が早期に発見できればいいんです。孤独死のことを除けば、高齢者は、良い借家人ですよ。古いアパートでも文句を言わず長期間借りてくれます。

 どうでしょうか。自分が動けば、孤独死の対策は案外とれそうですね。不動産所得なんて、もう不労所得じゃないんだから。自分で考えて動いてはじめて成り立つ知的産業ですよ。

 皆さんのご健闘をお祈りします。

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