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よくわかる相続・税金のしくみ

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相続法改正・葬式費用・生活費の仮払い制度の創設

更新日:2018年12月10日

葬式費用・生活費の仮払い制度の創設

(1)改正理由

 これまで、相続における預貯金の解約は、裁判所と銀行で取り扱いが違っていました。

 裁判所は、法定相続分だけ各相続人が引き出せるといってきた。一方、銀行は全員の実印がないと引き出せないといってきました。

 平成28年12月に最高裁は考えを改めて、預貯金も遺産分割の対象である、銀行と同じく、全員の実印がないと引き出せないと言いました。かたくなに裁判所に抵抗してきた銀行が正しかったわけです。

 ところが、そうなると、別の問題が出てくる。死後に必要になる葬式費用や同居人の当面の生活費はどうするのかという問題が出てきます。銀行に死亡の事実がわかれば預貯金は凍結され引き出せなくなる。一方、遺産分割はそう簡単にはまとまらない。

 これまでは、最終的には、弁護士が訴訟を起こして、法定相続分だけ引き出せたんです。葬式費用には間に合わないけど、少なくとも遺産分けが長引いたときの当面の生活費は確保する手段があった。これがもうできなくなるんです。

 葬式費用や同居人の当面の生活費は緊急の問題ですよね。そこで、今回の改正では、預貯金の簡易迅速な引き出しのために、仮払い制度をもうけました。

(2)内容(新法909条の2)

 預貯金の仮払いは、金額に限度があります。

 預貯金総額の3分の1に、各相続人の法定相続分割合をかけた金額しか引き出せません。

 また、相続人ひとりあたりの限度とは別に、銀行1行あたりの限度もあります。これは、法務省令で定める金額を限度とするとされており、100万円(150万円に決まりました)が限度になるようです。

(3)注意点

残高の思い違いの危険

 実務では、この仮払い制度、思わぬ落とし穴になるかもしれません。

 遺産分割協議書に判を押すときに、これまでは亡くなった日時点の残高証明書の金額を信用して、その後の動きはあまりないものと仮定して、遺産分割の割合計算に使いました。

 しかし、これからは、亡くなった日時点の残高証明書の金額だけ信じて決めるともめごとが起こるでしょうね。亡くなった日時点の残高が1000万円の預貯金を相続したら、なんかしらないけど実際の残高は850万円だったとか。仮払いだよ。あいつ150万円抜いてたのかよ、とか。

 150万円程度の比較的小さな事柄では、遺産分割協議自体は錯誤取消しはできないでしょうね。では、詐欺取消はどうか?あり得ますが、相当、難しい訴訟ですね。そうすると、遺産分けは有効にしたまま、不当利得返還請求で返してもらうしかない。でも、遺産分けではしれっと黙ってたやつです。交渉で簡単に解決するでしょうか?しませんね。

 だから、予防が大事です。遺産分割は、そのときの残高を確認して慎重にしなければなりません。これからは相続税の申告をする税理士に丸投げではだめですよ。税理士は、税務署と一緒で、基本、死亡後の預金の動きは見ませんから。司法書士も不動産の登記しか興味ないので丸投げではだめですね。行政書士もそこまで注意深くはない。みんな、亡くなった日の残高で話をすすめますよ。

 これからは、預金をもらう人は、ちゃんと、遺産分割直前の残高を確認して実印を押さないといけないでしょうね。

追記

 銀行あたりの仮払い金額の上限は150万円になるようです。平成31年2月2日

 

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