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民法改正と不動産経営・敷金の返還義務、原状回復義務の範囲、通常損耗・経年劣化の貸主負担の明文化

更新日:2018年12月16日

敷金の返還義務、原状回復義務の範囲、通常損耗・経年劣化の貸主負担の明文化

(1)判例の明文化

 敷金の話です。これまで、敷金は、返したり返さなかったり。実務上は、曖昧でしたね。条文にはなにも書いてないんだから。相手によって変えたところもあったでしょ。これは知恵がなさそうだから返さなくてもよさそうだとか、これ知恵がありそうだから返しておこうとか(笑)。

 でも、裁判所は、敷金は返還しなさいと言ってきたでしょ。今回の改正では、これが明文化されます。

(2)原状回復義務の範囲、通常損耗・経年劣化の貸主負担の明文化

 これまでの実務は、クリーニング費用を敷金から引いて、残金が残れば返すというものが多かったですよね。貸主の立場からすれば、クリーニング費用は次の入居者募集のために絶対に必要なもの、それくらい汚したやつが払えよと思いますよね。

 でも、このクリーニング費用、裁判所は、こんな風に言ってるんですよ。「通常の使用によるキズや時の経過による色あせなどの修繕費用は家賃金額に織り込み済みでしょ。もうもらってるじゃん。借主が『それでも自分が負担する』という特別の約束をしていれば別だけど、そうでない場合は、敷金から引いてはいけません。」

 今回の改正では、この判断も、明文化されます。だから、特別のキズがなければ敷金は全額返還するのが義務です。もう借主をだませません。

(3)対応

ア 通常のキズか特別のキズか

 敷金から引ける特別のキズってどういう状態なんだ。敷金から引けない通常のキズってどういう状態なんだ。この認定がまた難しい。

とくに通常損耗・経年劣化と借主の過失が重なるような場合が多いですよね。

 添付資料1を見てください。これは国土交通省が作成した資料で、原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)です。これによれば・・・。

 こんなのわかるわけないじゃん。延々と時間かけて、所詮、数万円の争いを双方やりたいですか。どちらもやりたくないですよ。

イ 原状回復義務の範囲について特別の合意

 さて、退去の度に、キズの程度を認定するのか。貸主とすれば、そんなことせずに、クリーニング費用は全額敷金から回収したいでしょ。通常か特別かの区別なんて土台わかるわけがないものに時間もかけたくないでしょ。

 だったら、入居させるときに、同意してもらえばいい。クリーニング費用全部を借主が負担し、これを敷金から引いてもかまわないという特別の約束に同意してもらえばいいんです。

 敷金の規定、通常損耗・経年劣化の貸主負担の規定は、契約で定めがなかったときのための任意規定と考えられていますから、これに反する約束をした場合、それはそれで有効なんです。ただ、消費者契約法によるよこやりの可能性は残ります。

ウ 敷金をやめて、定額の修繕費用の支払義務を合意する

 または、もういっそのこと、敷金という取り扱いの難しい文言を使わない。

 たとえば、「借主は退去時の修繕費用として金8万円支払います。」という特別の約束を合意しておくことほうがいいかもしれない。

 たしかに、よく考えてみると、家賃の滞納なんかは、保証人や保証会社に保証してもらうんですよね。二重に敷金で担保する必要性は薄いかもしれませんね。

 定額の修繕費用の特約なら、キズの程度の認定や敷金の清算も不要です。シンプルでいいと思いますね。

 ただ、この場合も、修繕費用の設定は周到にやったほうがいい。消費者契約法のよこやりを免れる金額はいくらくらいか。

 (詳細は割愛します。セミナーでお話します。)

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