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相続法改正・自筆証書遺言の方式緩和

更新日:2018年12月10日

自筆証書遺言の方式緩和

(1)改正理由

みんな遺言書なんて書かない

 遺言書、書いてる人いますか?あんまりいないと思いますね。当たり前なんです。みなさんの生きてきた時代は、後継ぎ長男が財産と責任を受け継ぐのが当然だったんだから。

 60年前、思い出してください。貧しかったでしょ。田畑から得られるわずかな所得で、何人もの家族を養ってきたんでしょ。みんな病気で若くして死んだ。生まれた赤子を水につけて殺したこともあったでしょ。障害を持った子供も奥の間で世話した。もらい火で家もすぐに燃えたよね。みんな寄り添って生きるしかなかった。金がかかることは家長がすべて面倒見たんです。そのための家産だったでしょ。

 そういう時代を生きたみなさんが、遺言書なんて書くはずないじゃん。そういうものだと実際に体験してきたんだから。子どもたちもそういう時代に育てたんでしょ。子供たちも同じ思いのはずだよね。で、自分が死んだあと、同じ思いをもった子供たちが話し合うんでしょ。後継ぎ長男がたくさん受け継ぐように自然に決まる、みなさんそう思っているんです。だから、書かない。

 それに、みなさん、臆病でしょ。死後に子供たちから配分で責められたくないでしょ。子供はみんなほどほどに可愛いじゃない。それなのに、配分決めて恨まれるのは嫌でしょ。自分の責任で子供たちに差をつける覚悟なんてないでしょ。空気や伝統のせいにできたら楽でしょ。だから書かない。

 書きたがってるのは、専門家だけです。みんな書きたくなんですよ。暇だから、相続セミナーに行ってるだけ。みんながいるところで、ちょっと怖い話が聞きたいだけでしょ。今日だって、そうでしょ。(笑)

 まだ、理由があります。遺言書の作成は手続きが面倒くさいんですよ。

 みなさん、遺言書って言ったら、公正証書遺言を勧められるでしょ。でも、そのためには、戸籍とか印鑑証明書とかいろいろと書類を集めないといけない。それに、公証人や専門家に不動産の登記簿や預金通帳まで見せろと言われる。だれにどれだけやるかなんてまだ決まってもないのに、決まらないと書けないから決めろとせかされる。もう、面倒くさいことだらけですよ。

 で、公正証書遺言に比べて、自筆証書遺言なら面倒なことは少ない。でも、専門家におどされるでしょ。自筆証書だと紛失しますよとか、死後に家庭裁判所で検認作業が必要ですよとか、認知症だったとかあとで争いのもとになりますよ、とか。

 それに、すべての文章を自分で手書きで書くって高齢者にとっては結構大変です。とくに財産の目録を書くのは大変です。不動産は登記簿どおりにかかないといけない。書き損じたときは訂正の仕方がわからない。間違えたら最初から書き直しかよ。怖いことだらけですよ。これじゃ、書く気にもなれません。

(2)内容・財産目録部分は手書きは不要になる

 この財産目録もすべて自筆で書けというところが、自筆証書遺言の活用を阻害してきた原因のひとつです。

 国は、相続争いを少なくしたい。だから、遺言書をもっと活用してほしい。そのために、すべて自筆で書けというのをやめて、財産目録は、ワープロ書きや資料添付でいいと変えました(新法968条2項)。もっとも、目録の余白には、各ページごとに署名と押印だけは必要です。

 どういう風に変わるかというイメージは、添付資料5です。

 資料添付は、登記簿でもいいし、預金の通帳のコピーでもいいです。財産が特定できる資料であればよいと言われています。

 こんな感じなら、少しは作りやすくなりますよね。もちろん、念のために、財産目録は専門家に作成してもらうんでしょうが。これなら、専門家のところで、一時間ちょっとの時間で作成できそうですね。

(3)注意点     

 料金も、公正証書遺言よりも安くできあがります。公正証書は公証人手数料と専門家報酬であわせて最低でも20万円くらいかかります。もう内容が決まっていて特別の相談や試算もなければ、自筆証書遺言の目録作成とアドバイスなら5万から10万円くらいじゃないかな。

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